黙って俺を好きになれ

打ちのめした側の傲慢かもしれない。だけど。

未知の一歩を、手を引っ張って“こわくない”って教えてくれたのはキミだった。キミの形をしたピースが私の中に嵌まっていて、それはもう失くせないものなんだと。伝えたかった。

「傷付く勇気がなくて、誰かと特別な関係になるのをずっと避けてた。でも筒井君といるのは全然いやじゃなくて・・・ぜんぶ楽しくて。・・・好きだった」

微かに肩を震わせ顔を上げたキミの目尻は濡れていた。その眼差しを苦しそうに歪めた途端、抱き竦められた。

「・・・・・・ひどいなぁ、オレが一番カッコ悪いときに言うの」

耳許で聞こえた弱々しい声。

「・・・かっこ悪くなんてない、筒井君は」

「そこはダメ出しするトコだよ・・・。どん底まで突き落としてくんないと、明日っからカワイイ後輩に戻れないでしょ・・・?」

一瞬だけ強く力の籠もった腕が緩んで筒井君が離れる。私の手を取って一緒に立ち上がると、赤い目でふにゃりと笑ってみせた。