黙って俺を好きになれ

「さっきまでの威勢はどうした。女一人に命なんざ張るわけがないと高を括ってたか?相手を見て物を言え。・・・決まらねぇなら俺が先だ」

淡淡と言い切るなり、迷いなく銃口を自分のこめかみにあてがったのを目にした瞬間、耐えがたい恐怖に真っ白になって絶叫していた。

「い・・・やぁッッ、もうやめてッ、幹さんやめてっっ、おねがいッ」

捕まれている腕を必死に振りほどこうとする私を、山脇さんは決して離そうとしない。全身で抵抗しながら死に物狂いの声を荒らげる。

「そんなことしなくたって私はもう幹さんのものでしょうッッ?お願いだからやめてくださいっ!幹さんを愛してます・・・ッッ!極道でも人殺しでもなんだっていいんですッッ、先輩はなにがあったって私を見捨てないっ!見捨てるくらいなら一緒に地獄に落ちてくれるっ、そういう人だって知ってるから私はっっ・・・!!」

無我夢中だった。
どうしたら止まるのか。
どうしたら届くのか。
掌を伸ばす。
力いっぱい。

「ああ。・・・俺もお前を愛してる」

聴こえた。深く静かな響きと。撃鉄を起こす音が。