黙って俺を好きになれ

筒井君がそのまま逃げ出してくれればよかった。極道の幹さんを相手に命知らずだったって。私なんかに関わるのはやめるって。それで終わりにしたかった。

「アンタも賭けるって証明してくれるんならね」

「当然だろうが」

まるで破れかぶれに言い放った筒井君に欠片も動じなかったあなた。血の気が引いていく。まさか本気で命の取引するなんてこと・・・!

筒井君を撥ね付ける方法だったら他にいくらだって!男の意地やプライドはそんなに譲れないものなの?!

混乱した。あなたを絶対的に信じる。私を苦しめたりはしない。信じたい。信じなくちゃ。だけど、でも。

「ッ、つかさ、さん・・・!」

つかえながら吐き出された掠れ声が自分のものじゃないみたいだった。
幹さんがおもむろに見下ろす。感情の消えた横目を眇め。私を抱く指先が肩に強く食い込んだ。

「・・・黙って見てろ」

「どう」

「山脇・・・、イトコが邪魔だ」

どうしてもですか。

できるなら思い留まってほしかった。・・・もしも筒井君を無傷で帰せなかったら。必死になにかを否定し続けながら袋小路に追い詰められていく。