黙って俺を好きになれ

「糸子の初彼がこんなイケてる人でビックリです、もう。なんか心配して損しましたー。一緒に住んでるんですよね?こんど彼氏と遊びに行ってもいーですか?」

「歓迎しますよ。イトコも喜ぶ」

エナとどこかに出かけた時でも、部屋に来たいって言われたことはなかったと思う。幹さんまでいいんですか?あまり他人に知られたら困るんじゃ・・・。

チラリと見やれば闇色の横目と合い、僅かに口角が上がった。“気にするな”の合図。

溢れんばかりの好奇心をぎゅうぎゅうに圧縮した笑顔で手を振った彼女が、駅に向かって歩き出したのを見届けて車に乗り込む。間違いなく明日のお昼は取り調べ。内心で小さく息を漏らした。

「お前の周りは愉快なのが多いな」

後部シートで私を引き寄せたあなたは人が悪そうに。

「式でもどこでも呼んでやれ。俺の気は変わらねぇよ」



・・・・・・普通にぜんぶ聞こえてたんじゃ?