黙って俺を好きになれ

ベッドルームや水回りの掃除も済ませてリビングを覗いたら、幹さんはソファでタブレット画面をスクロールさせながら真剣な横顔で集中していた。仕事だろうか。会う時にはそれを持ち込まない人だったから初めて目にする姿。

一緒にいればもっと好きになるところもそうじゃないところも、これから見えてくるものがお互いにある。・・・知らないほうがよかったと思うこともきっと。全てを受け容れて許したり許されたり、愛するって本当はそういうことで居場所を作ることだけじゃない。あらためて刻む。

邪魔をしないようスリッパの足音を忍ばせて入っていくと、こっちを向いたあなたが目を細めた。

「終わったか?俺を放っとく女はお前くらいだぞ」

「ごめんなさい、やり出したら止まらなかったので」

「お前は家政婦じゃないだろうが。ハウスキーパーに任せりゃいい」

これまでも週に一回ほど頼んでいたと聞いた。一般家庭では家事は分担したりするんですよ?

「自分の家のことは自分でしたいんですけど、・・・駄目ですか?」

傍に寄っていった途端に捕まえられて幹さんの腕の中。

「俺をかまうのがイトコの役目(しごと)だ」

頭の上に落ちたキスが耳に、首筋に。次第にのし掛かってきた重みを受け止めて、はっとする。