黙って俺を好きになれ

広さはそれほどなかった。ダークブラウンの天井と床に挟まれた白い壁。一画はウォールシェルフが占め、本やぬいぐるみ達をどんな風に並べようかと空想を描く。向かいの壁際にはライティングチェスト、洋服ダンス、姿見のスタンドミラーも。

ブルーのカーテンがタッセルで括られた窓のそばには草色のソファとカフェテーブル。家具はオーク系で統一され、コーディネイトするなら和洋どちらでも相性が良さそう。

生活感が詰まっていた今までに比べたら贅沢な使い方。勿体ないくらいの部屋を丸ごと用意してくれるなんて思ってもみなかった。

「気に入ったか?」

隣りに立つあなたは唖然としている私の頭を撫で、人が悪そうに笑う。

「高い(ところ)は気を付けろ。また落ちるぞ、図書室のイトコ」

声をかけるきっかけをくれたあの時の思い出を、忘れずにいてくれたことも嬉しくて幹さんの胸元に顔を寄せる。さっきからずっと胸がいっぱいで、ありきたりの言葉しか出てこない。

「ありがとうございます、・・・先輩」

「礼も遠慮もいい。お前の家だろうが」

家。帰る場所。ここは私の守るべき楽園。深く息を吸い込む。見上げれば穏やかな眼差しが注いだ。

「・・・片付け終わったら久しぶりに、美味い手料理を食わせろよ?」