黙って俺を好きになれ

慌てて視線を逸らせば肩を抱き寄せられ、長い指先が私の髪を梳く。

「もっと俺を強請れ。・・・お前の(もん)だろうが」

淡く笑んだ気配。命令というより乞うように。

一瞬で熱が上がる。胸が苦しくてたまらない。思わず縋りついた。溢れて、どうしようもなく溢れて。幹さんに溺れていく、息もできないくらいに・・・!

「・・・・・・じきに荷物が到着するんですがね」

前触れもなく後ろから降った、機械より冷たい声に心臓が停まりかけて。・・・山脇さんも引っ越しも、忘れていたわけじゃないです本当に。心の中で弁解しながら、あたふたと体を離して姿勢を正す。

微塵も動じない幹さんがそこで思い出したように。

「ああ、イトコの部屋を見せてやるか。こっちだ」

いつもよりゆっくりとした動作で立ち上がったあなたについて廊下に出ると、ベッドルーム以外の二部屋のうち、リビングに一番近い扉の中へと私を招き入れてくれた。