黙って俺を好きになれ

刺し傷から流れ出た血色をしたものはなに・・・?自分の中がどんどん(ほつ)れて穴が空いていくような。

前に山脇さんは『うつつを抜かしてる場合じゃない』と幹さんを諫めたことがあった。戦場のような世界で(あいて)に突き立てる牙や裂く爪が必要なんだと少しは理解している。闘争本能を鈍らせたら死に繋がってしまうかもしれないことも。

私が幹さんを脆くするの・・・?小さな楽園で待つと決めたことが?

幹さんが、自分でいられる居場所を望むことが?

うねる。たわむ。(よじ)れる。感情なのか想いなのか、名前も付かないモノが。

「・・・私、・・・は・・・」

それきり言葉が続かなくなった。

「オレにとどめ刺しそこねちゃったね」

筒井君はどこか自嘲の色を滲ませ、仄かに笑んだ。