流し見していた番組がエンディングを迎えるたび、時間の経過だけを認識して。テレビの向こう側は笑い声が絶えなかったけど、バラエティだったのか何だったのかも憶えていない。
23時半を少し回った頃だった。玄関の方でガチャリと音がしたと同時、心臓が大きく波打ち、ドクンドクンと太鼓を打つみたいな鼓動が耳の奥から響いた。喉元から何かの塊がせり上がってきそうな衝動に思わずソファから立ち上がったまま。そこから動けなかった。
「イトコ」
リビングの扉が開き、黒の三つ揃いで風格が足されたあなたが姿を見せた。
「遅くなって悪かったな」
悠然とこっちに向かって歩いてくるのをただ固唾を呑んで。『お帰りなさい』も言えず。
「・・・なんだ?風呂も入らないで待ってたのか」
着ていた服のままだった私に訝しげに。
「なら一緒に」
「幹さん」
微かに震えた自分の声をどこか遠くに聴いていた。
23時半を少し回った頃だった。玄関の方でガチャリと音がしたと同時、心臓が大きく波打ち、ドクンドクンと太鼓を打つみたいな鼓動が耳の奥から響いた。喉元から何かの塊がせり上がってきそうな衝動に思わずソファから立ち上がったまま。そこから動けなかった。
「イトコ」
リビングの扉が開き、黒の三つ揃いで風格が足されたあなたが姿を見せた。
「遅くなって悪かったな」
悠然とこっちに向かって歩いてくるのをただ固唾を呑んで。『お帰りなさい』も言えず。
「・・・なんだ?風呂も入らないで待ってたのか」
着ていた服のままだった私に訝しげに。
「なら一緒に」
「幹さん」
微かに震えた自分の声をどこか遠くに聴いていた。