「そうだよね。バレたら大変だよね。ならこれを」

先生はそう言うと被っていた帽子をあたしに被せた。

「あの、これ」

「被ってて。これでバレないでしょ?行くよ」

大きくて優しい手。

あたしが転ばないようにしっかり支えてくれてる。

買い物の荷物もあるのに。

「先生、ここで大丈夫です」

「そう。じゃあここで」

「送っていただきありがとうございます」

「いいんだよ。これくらい。お礼は明日の生姜焼きね?」

「はい!」