「平川君、職員室でも評判いいよ。他の生徒も見習えってよくほかの先生が言っているよ」

「へぇ〜。平川君ってやっぱり凄いですね!」

「彼は凄い。僕も少しは見習わないとって思う。自分に嘘をつかないで素直に人に物事を伝えるところとか」

「薬師寺先生?...わっ!」

突然抱きしめられた。一瞬、何が起こったのか分からなかった。

気づいた時にはもう、あたしは薬師寺先生の腕の中にいた。

「少しの間でいい。こうさせてくれ」

薬師寺先生は今にも泣きそうな声であたしにそう言った。

花火がすぐ散るような早さで一日が終わった今日。

この一日であたしの中で何かが変わろうとしていた。