「うわー…すげぇ!」
何か物を見る度にそう叫ぶ琉矢、
「おお!」
としか言わない智。
そしてニコニコしながら歩く琳。
ガヤガヤと移動するGold Rush御一行の横で微かに距離を取りながら、楓はため息をついた。
この三人、いや昴も含めて四人は今までどんな生活を送ってきたのだろう…と悪態を吐きたくなる。
「かーえでちゃん!あれなにー?」
琳が無邪気な笑みで古びた廃墟を指差しながら、そう聞いてきた。
「あれは昔ボウリング場だったところ…」
声が大きい、と思いつつ、無視はできなかったためできるだけ声を落として答えた。
するとそんな楓の心の内に反して、次は琉矢が「かえでっち!」と興奮気味に声を掛けてきた。
「何ですか…」
怪訝に思いながらも、一応反応だけはした。
「そのボウリング場ってなんで潰れちゃったのー?」
「…はい?」
何を聞きたいんだろう、この人は。
「知らないですよ、そんなこと」
突き放すつもりで言い放った。だが、無神経なのか、鈍感なのか、琉矢は再び楓に詰め寄ってきた。
「じゃあさじゃあさ!あそこにお化け出るとかそう言う話ないのー?」
「ないですよ!」
「ちぇー」
琉矢は唇を尖らせた。
大人気アイドルグループだがなんだか知らないが、これはあまりに幼稚ではないだろうか。
楓は唯一ほとんど喋っていない智をこっそり見た。が、彼もまた分かりにくいが、キョロキョロとしながら微かにニコニコしていた。
何なんだろう、この人達は。
楓は思わず首を傾げてしまった。
そして今ここで知り合いと会ったら、きっと明日から学校行けないなぁ、なんて思い、楓は体を縮こませた。
