そしてその拍子によろついてしまい、こけかけて……
「大丈夫…?」
ぎゅむっとつむった目を開くと、楓は昴の胸の中にいた。
「えっ……あ、うん……」
焦って顔がほてる。
果たして焦っただけなのか、それだけでないのか……
楓は動かない頭で昴から一定の距離を取った。
すると昴は一瞬首を傾げたが、紅くなった楓の顔を見て何を理解したのか、「……悪かった」と言って頭を掻いた。
「うっ…ううん」
互いに俯き合った昴と楓に対し、それを見ていた三人が「あの…」と気まずそうに切り出してきた。
「お取り込みのとこ悪いんだけどさ…、俺らのこと、忘れてねえ?」
チャラ男、琉矢が苦笑いしながらそう聞いてきたため、昴が「悪い」と謝ったが、どこか動揺しているようだった。
いつもクールなイメージが強い昴がそんな風に慌てふためいていたため、楓は少し意外に思った。
「昴、なに慌ててんの?」
琳がくすりと怪しげに笑ったので、昴は「別に」とそっぽを向いた。そんな昴を見て琳はふっと笑ったが、やがて楓の方へ向き直ると、
「まぁよろしく、楓チャン」
とウィンクをしてきた。
「えっ、あ…はい」
そんな琳の行動に驚いたものの、楓はなんとか頷いた。
