そして…
「白波さん、こっちで大丈夫?」
「…うっ、うん!」
キラキラと、色素の薄い昴の髪が太陽に反射している。
待っていれば良かったかもしれない…
楓は美しく整った昴の顔を横目で見ながら、そう思った。
なんとなく勢いでこうなってしまったが、このまま知り合いにでも会ったらどうしようと思う。
あの雨の日は傘があったし、人出も全くなかったからよかったものの、今回は休日でもあり、さんさんと晴れまくっている。
これはこれで考えものだ。
「白波さん、ここってあんまり人、いないんだね」
昴は見渡す限りの山、山、山…を見ながら、感心したようにそう言った。
「あっああ…うん!まあここ、田舎だし」
はは、と苦笑いをした。
「にしてもさ、ここに電車が通ってるなんて初めて知ったよ」
昴は感心したように頷く。
「そりゃあ電車くらいは通るよ!」
都会の人の概念ってどうなっているのだろう…
楓は昴のとんでもない(と楓は思う)その言葉に、少し食い気味になって否定をした。
確かにここは田舎だが、一応電車もあればバスもある。
「ふーん…そういうものなのか…」
「いやだってここ、普通に都市にも近い方だし」
昴はうむ…と唸った。
