「よし。じゃあ準備を始めるか!」
森本のおじいちゃんは気合いを入れて立ち上がると、さっさと外へ出て行った。
「森本のおじいちゃん、ノリノリだ」
そんな姿を見て、楓は小さく笑うと、昴も「そうだね」と笑った。
鬼島くんが笑ってくれて良かったな…
正直言うと、森本のおじいちゃんの許可なく普段、森本のおじいちゃんが昴をべた褒めしていることを言うのは躊躇われた。
けれど、楓は寂しそうにする昴を見て、ついつい言ってしまったのだ。
失敗したかな?なんて思いはしたが、結果的に良い方向へ進んで行ったようなので、良かったなと思った。
「白波さん、ありがとう」
楓が息をついていると、昴がそう言った。
「ふふっ、お礼なんて言わなくていいんだよ!それより鬼島くん、森本のおじいちゃんに何を話したの?」
ニヤリと笑って見せると、昴は少し照れ臭そうにして、目線を逸らした。
「別に、白波さんに言われたことをそのまま言ったんだよ。そしたら爺ちゃん、バレたか…って笑ってくれて…」
そのことが本当に嬉しかったのだろう。昴はもう一度、楓を見て「本当にありがとう」と言った。
「どういたしまして」
楓はそう言ってクスリと笑った。
