「楓ちゃん、どうぞ」
森本のおじいちゃんはさっきより嬉しそうな表情で、楓の前にお茶の入ったガラスのコップを置いた。
「そういえばさっき、久美枝ちゃんから連絡が来て、お昼ご飯、楓ちゃんの分だけ用意してほしいっておっしゃってたよ」
「あ、連絡行ってたんだ…。なんだか迷惑かけてごめんなさい」
「ははっ、迷惑なんかじゃないよ。昴と二人でご飯っていうのも面白みがないし。楓ちゃんがいるとうちが華やぐんじゃよ」
森本のおじいちゃんはそう言って、にっこり笑った。
「爺ちゃん、今日は俺の友達が来るって言ったの覚えてる?白波さん入れて7人分の昼飯、あるのかよ?」
昴が焦ったようにそう聞いた。
「えっ⁈鬼島くんの友達が来るの?なら私、家に帰るよ」
楓は焦ったように首を振った。
すると森本のおじいちゃんは「大丈夫じゃよ」と言った。
「今日は久しぶりに晴れたから、外でバーベキューしようと思ってたんじゃよ。一応材料はあるし、楓ちゃんもバーベキューしたいじゃろう思うて、久美枝ちゃんに楓ちゃんも誘っておいでって言おうと思ってたんじゃ」
「森本のおじいちゃん…!ありがとう」
漬物を持ってきたついでにバーベキューができるなんて…!
楓の気分は限りなく上々だった。
「というわけだから、いいよな?昴」
突然振られた昴は少し驚いていたが、「もちろん」と言って笑った。
