「髪はぐちゃぐちゃ、くまはあるし、顔色も悪い!
女子としての自覚、あるの⁈」


「ヒーー、ごめんなさいー」


目を吊り上げながら、髪をがしがしとかす恵の姿は、いつもと同じ光景だ。


「今日は始業式だよ?私たちもやっと先輩になるんだねー」


「あはは、そうだねー。来年は受験だし、大変だあー」


世話好きの恵は、去年学級委員を務め、所属しているバレー部でも早く後輩が入ってくることをとても楽しみにしている。

彼女のことをおせっかいと、陰口を叩く子はたくさんいるが、そんなことにもめげず、頑張る恵を楓はとても尊敬している。


「ほら、始まるよー。」


本鈴がなると、恵に促され席に着いた。