俺、鬼島昴はこっそりとため息をついた。
ーーーーーー数週間前
『昴、お前新学期から爺ちゃん家に行け』
『…はあ?』
全ての始まりは、父の一言だった。
仕事が忙しく、なかなか家に帰ってこない父は、久しぶりに帰ってきた途端、突然そう言い放った。
『いやでも、仕事あるし』
『来月から事務所変わるだろ』
長年勤めた事務所が突然畳まれることとなり、Gold Rushは途方に暮れかけた。しかし、人気グループのため、多くのオファーがきた。
その中で最も良い事務所を選んだのだが、住んでいた場所からはかなり遠くなってしまったのだ。しかし通えないことはないので、そのままでいいと思っていた。
のだが…
