「じゃあねー、恵ー」
楓は、いつものように分かれ道で恵に手を振った。
「まったねー!明日はちゃんと時間通りに来てよ〜」
「了解、了解!」
恵の姿が見えなくなると、走って家に飛び込んだ。
「たっだいまー」
大きな声で呼びかけると、のんびりした声で「おかえりー」と返ってきた。
「楓、学校どうだったー?」
洗面所で手を洗っていると、せんべいを食べながら母が近づいてきた。
「それがさあー、なんか芸能人の転校生が入ってきたんだよね。しかも私隣になっちゃって…」
「はあ?転校生が芸能人?何言ってるの〜〜、ここは田舎よー」
母が小馬鹿にしたように笑った。
「えー知らない?鬼島昴って人」
