「あっちょっと!待ちなさいよ!」
恵は楓の腕を掴んだ。
けれど。
「もう!しつこい!確か春田恵とか言ったっけ?あなたお節介好きで、沢山の女子が『あいつうざい』って言ってたの知ってる?ほんとうざいわー。この白波さんだって黙ってるけどほんとはあなたのことうざいって思ってるんじゃないの?」
リーダー格の女子は心底うざったるそうに恵を睨んだ。
「ちょっと!恵のことは悪く言わないで!私、恵をうざいだなんて思ったこと、一度もない!」
楓はこれでもかと言わんばかりにその女子を睨んだ。
普段穏やかなだけあって、楓の睨みは強烈で、周りが一瞬にして凍りついた。
「かえで…」
恵は泣き出しそうな目で楓を見た。
「ッ!とにかく!ついて来なさい!」
彼女たちは更にいたたまれなくなったようで、楓の腕を強引に掴んで歩き出した。
「あっ!」
恵は即座に彼女たちと楓を追いかけようとした。
しかし、その姿はだんだん見えなくなってしまう。
「楓!」
恵は連れ去られた親友の名を呼んだ。
