二人は入学したばかりの頃、学園の中で迷子になった生徒の親を大声を出して見つけ出したのだ。多くの人に見られながらあんなことができる人などそうそういない。

「レオ、リオ、あなたたちが入学したばかりのことを覚えているかしら?」

オズがそう訊ねると、レオとリオは大きく頷き、「迷子の子を助けた!!」と答える。その元気よさに微笑み、言った。

「大きな声を上げて人を助けてあげられたあなたたちはきっと勇気があると思うわ。誰にだって怖いものはあるもの」

「先生の怖いものって何〜?」

リオとレオに訊ねられ、オズはクスクスと笑いながら言った。

「怖い話が苦手かな」

「ええ〜!!怖い話面白いのに〜!!」

双子は驚き、無邪気に笑って図書室を出て行く。オズは二人を見送った後、また読書を再開し始めた。