「私はダンス部に入部しています。この前、大会があって出場しました。個人の部で優勝すると思っていましたが、結果は初戦敗退でした。私のダンスは完璧ですが、心がないそうです。先生、心とは一体何なのでしょうか?」

ルカーナの瞳がまっすぐオズを捉える。オズはニコリと笑ってルカーナの両手を包んだ。

「ルカーナはどうしてダンス部に入部したの?」

「……踊るのが好きだからです」

ルカーナが踊っているところをオズは見たことがある。誰よりも先に振り付けを覚え、完璧に踊っている。ダンスのことはオズは何もわからないが、ルカーナは真剣に悩んでいる。

「踊っている時、ルカーナはどう思っているの?」

「楽しい、そう感じています」

ルカーナは胸に手を当て、頬を赤くしている。オズは優しく微笑んだ。

「好きなダンスを踊っている時、楽しいと思っているということはあなたにも心があるのよ」

「心……」

ルカーナは目を見開き、胸元を強く掴む。オズはその手の上に自身の手を重ね、「きっとあなたの心をダンスに活かせる日が来るわ」と優しく言った。