「その歌、知ってるよ!この前観たミュージカルのやつだ!」

カイルは涙を拭い、オズと一緒に歌い始める。美しい二人の歌声が図書室に響いた。

「ねえ、カイル……」

オズは優しく微笑み、カイルの手を優しく握る。知恵がなくてもカイルは明るくていい生徒だ。

「好きな歌をこうして覚えて口ずさめるのは、カイルにも知恵があるからじゃないかしら?」

「おいらに知恵?」

カイルは驚いたような顔をする。オズは頷き、言葉を続けた。

「だってあなたに知恵がなかったら、こんな風に一緒には歌えないわ。あなたはきっと勉強じゃなくて音楽に才能があるのね」

「おいらに才能……!!」

カイルは嬉しそうに笑う。そして「話を聞いてくれてありがと!!スッキリした!!」と笑顔で図書室を出て行った。

「また笑ってくれてよかった。カイルは笑っている方が素敵だもの」

オズはそう呟き、微笑んだ。