そしていよいよ、迎えた、体育祭当日。
天気は快晴。真っ青な空に、雲ひとつない。この上ない絶好の天気。
「あっつぅ〜〜〜!今日23度って聞いてたんだけどこんな暑い!?」
「………今、27度だって」
「うっそぉしぬ〜〜」
まりなちゃんがせっせと日焼け止めを塗っている横で、玲可ちゃんがスマホを見ながらそう言った。
クラスごとでエリアを分けられたグラウンドで、私たちのクラスが割り当てられたエリアは、日陰ゼロの地獄地帯。
そしてこのあとも、きっと日陰にはならない位置だった。
「日焼け止め、家出る前に塗ってこなかったの?」
「塗ったよっ、塗ったけど、ここ日陰ないし、絶対の絶対に焼けたくないから追加で塗ってるの!」
「確かにまりな色白だもんね」
百叶はまりなちゃんに話しかけながら「私ももう1回塗っておこうかな」と鞄から日焼け止めの白いボトルを取り出した。
「柚、使う?」
「……えっ?」
「日焼け止め、塗った?」
隣で百叶が、私に取り出したばかりのボトルを差し出す。
「あっ、うん、塗った!大丈夫、ありがとう。自分のも持ってきてるから、大丈夫だよ」
「そう?ならよかった」
微笑んだ百叶の白い肌に朝の太陽の光が反射して、いつも以上に眩しい。
私は思わず目を細めた。
「百叶と柚が出る100mって、割とすぐだよね?」
帽子を深く被り、薄手のパーカーを羽織って日焼け対策万全の玲可ちゃんが、タイムテーブルの書かれた紙を見ながら言った。
「あ、うん、開会式終わってすぐ」
「早速この中走るのか〜」
「まりなの200もそのあとすぐじゃん?」
「しんど〜100にすればよかったあ」
「100はすぐ終わるからやだって言ってたの誰よ」
「あたしだ」
項垂れるまりなちゃん。だってこんな暑いと思わなかったんだもん〜〜、と声を漏らした。
《まもなく開会式を始めますので、生徒のみなさんは各クラスのエリアに戻ってください》
先生のアナウンスが響いて、いよいよ始まるんだと、私は思わず口角が上がった。


