「じゃあ次はー、玉入れー、出たい人ー」
私はまた、恐る恐る手を挙げた。
今度も、多くありませんように…………
「……えーーと、………はち、9、10、11、12?…2人多いわ」
…え……嘘……………
「うーん、どうするかなー。話し合いでと言いたいところだけど、そうしたらあんたたち一生決まんないだろうから……さっさとじゃんけん一発勝負で」
「っしゃー!」
その言葉に、立ち上がる男子たち。
はい手挙げた人全員立ってー、と先生の言葉に、続々と立ち上がるクラスメイト。
………も、もし仮に、じゃんけんして、万が一、私が勝ち残ってしまったら…………?
「……っせ、先生……っ」
「……ん?宮藤さん、どうしました?」
私は、そっと手を挙げて先生を呼び止めた。
「…あ、あの、私…移ります………えっと………100m走に、移ります…」
教室中の視線が、私に向けられるのを感じた。
悪いことをしているわけじゃないのに、教室各所からの視線が痛いくらい突き刺さる。
思わず、挙げた手はどんどん小さくなる。
「……あら、いいの?出たいんじゃなかったの?」
「だっ、大丈夫です、移ります、私」
「そー?……じゃあ、宮藤さんは、100m……っと」
言いながら、先生は手元のメモにペンを走らせた。
「はいじゃあ残りでじゃんけんやるよー」
その声で、私はゆっくりと腰を下ろした。
……よ、よかったんだこれで……少なくとも、私のせいで出られなくなるかもしれない人が1人減らせたんだもん、うん……!
私は、残りの種目も着々と決まっていくのを、ただ座って聞いていた。


