「はい席ついたね。じゃあ早速始めますよ、まず数学ね。プリント後ろに回してー」
先生の一声で、はっとした。私はいつの間にか下がっていた視線を慌てて前に向けた。
そ…そうだよ、勉強……勉強しに来たんだから、ちゃんとしなきゃ……………
プリントが回ってきた。裏表、合わせて………20問もある……………
いきなり数学は…しんどいなぁ………
文系か理系か、私は完全に前者で、数字の問題、計算が絡むものはだいたい苦手。
中でも数学は群を抜いて苦手。名前に『数』がついている時点で、数字を扱う教科ですとはっきり宣言されている感じがして、苦手。
高校入試でも、数学は全ての教科の中で最も点が取れなかった。
それくらい、私は数学に対して苦手意識を強く持っている。
ぱっと見た感じだと、中学生で習ったものしか出題されていない。
けれど解き方なんて、入試の終了とともに頭から抜けてしまっている。
で、できるかな……私………………
「じゃあ今から1時間でやってみてー時間になったら答え合わせします」
はいスタート、と先生の声で、みんな一斉にシャーペンを握った。
私もシャーペンを手に取り、久しぶりに対面する中学数学の問題とにらめっこを始めた。
………前方の壁に掛かってある時計は、まもなく30分の経過を知らせていた。
そして私の手元は、問6で足踏みをしていた。
最初の5問は簡単な基礎問題だったので、記憶が飛んでいる私にも解けるものだった。
けれど、問6から急に難易度が上がって、私はどうすることもできないなりに頭をフル回転させていた。
………出てきそうで、出てこない。もどかしい気持ちいっぱいに、私はプリントをじっと見た。
しばらくしてガタン、と横から椅子を引く音がして、私は横目でそっと隣の席を見た。
そこには、机に突っ伏して寝始めたのか、腕を枕にしている成瀬くんがいた。
……え、うそ、もう解き終わったの………!?
1時間まであと20分ほどあるのに、成瀬くんは静かに寝息を立て始めた。


