教室の中には、既にちらほらと生徒がいた。
少し賑やかな中、黒板に貼られた座席表で自分の名前を探す。
そして見つけた自分の席へ向かう途中、不意に、成瀬くんと目が合った。
もう、教室にいたんだ…!
相変わらず気怠げに、頬杖をついている成瀬くんに軽く会釈をすると、たどり着いた自分の席に鞄を置く。
まりなちゃんと玲可ちゃんとはクラスが離れちゃったけどいつでも会えるし、それに、百叶とはまた同じクラスでよかった……!あと、成瀬くんも……
あっという間に2年生初日が終わり、放課後。
帰りのホームルームを終えた教室は一気に賑やかになる。
帰ろうと席を立つと、私の横を成瀬くんが通り過ぎようとした。
「っあ、成瀬くん…!」
私の声に、成瀬くんは足を止めた。
「2年生も、よろしくお願いします…!」
すると成瀬くんは、軽くため息を吐いた。
「やっとおまえの子守りから解放されると思ったのに…」
「っおぉい成瀬〜〜何でまたクラス違うの!?」
突然の大きな声に、思わず肩がびくりと上がった。
声のする方を見ると、教室の入り口にふてくされた様子の宮城くんの姿が。
「…知らねーよ」
「…っあ!」
ばちり、と目が合った瞬間、宮城くんは片方の唇の端をくいっと持ち上げた。
「ゆずゆず一緒じゃん、なら大丈夫かぁ〜よかったね」
そう言うと宮城くんは近づいてきて、成瀬くんの肩に腕を回した。
「うるせぇ黙れ」
「…柚、帰ろう…?」
私の後ろから遠慮がちな声が聞こえて、振り返ると、鞄を肩にかけた百叶がいた。
「お、ももちゃん!」
「も…っ、?」
百叶の姿を見た宮城くんは笑みを浮かべると、聞き慣れない呼び方で百叶の名前を呼んだので、百叶本人はもちろん、私まで驚いた。
「そだ、今度この4人で遊びに行かね!?」
「…っえ…」
そして続いたあまりにも突然の提案に、私も百叶も反応できずに固まっていると、
「あー俺パス」
未だに肩に回されていた宮城くんの腕を払うと、成瀬くんはそのまま教室を出て行こうとする。
「何でよ!いーじゃん行こうぜ!」
「おまえみてーなのと学校以外で会話したくねー」
「ちょっとヒドイ!」
そのままあとを追って宮城くんも教室を出て行った。
私と百叶は顔を見合わせると、お互い困ったように笑い合った。


