「本気で変わりたきゃすぐ変われんだろ。変わらねーのはおまえの努力が足りないせい。もういーんじゃない?どうせ自分の気持ちなんかみんなに言えない、みんなに嫌われたくないし、みんなに合わせてれば平穏に過ごせるし?そーやって、みんながみんながって言って、一生嘘ついて生きてけば」

「っちょっと、いくら何でも、そんな言い方ないです……!!」




思わず、口にしてしまった。

慌てて口を塞ぐ。

目の前の成瀬くんは、目を見開いている。



「……っあ、あの、ごめ…」

「言えたじゃん、おまえが今、思ったこと」

「………え……?」


謝ろうと頭を下げかけたところにそんな言葉が降ってきて、私はそろりと顔を上げた。


「っ、」


……そこにいた成瀬くんは、今まで一瞬たりとも見たことがなかった表情をしていた。

ものすごく読み取りづらいけれど、何か、少し嬉しそう………?



「今、俺がどう思うとか、考えねーで言ったろ?」

「…あ……」


…言われてみればそうだ。

言ってしまってから、しまったと思ったけれど……確かに今、成瀬くんに言われたことにカチンときて、気づいたら言い返してしまっていた。


心の中に湧いてきた自分の言葉を、初めて、自分の口からそのまま言えたような……

相手がどう思うかとか嫌われるかもとか、そんなの何も考えないで、言われたことに、自分が思ったことをそのまま、ちゃんと言葉で返せた気がする………