「そ、そんなもの手に入るわけない!!」

「無茶苦茶だ!!」

そう言いながら男性たちは立ち去っていく。かぐやはようやく追い返せたとふうっとため息をついた。

かぐやはなぜか、人を誰も信じることができない。いつも冷たい心を隠して生きている。愛するのも愛されるのもかぐやにとっては怖くて仕方がないのだ。

「かぐやさん、また男子たちを追い返してたね。すごいものを要求して」

かぐやは声をかけられ、くるりと後ろを振り返る。そこにいたのは、この学園でかぐやの家と一位を争うほどのお金持ちの息子である月也(つきや)がクスクス笑いながら立っていた。彼もかぐやにアプローチをしている一人だ。

「またあなた?いい加減諦めたらどうなの?私のほしいものをくれないんだから」

かぐやは月也にインドで発見されたコ・イ・ヌールという世界最古のダイヤモンドを要求した。このダイヤモンドは自体の価値と歴史的価値により、値段がつけられないほどだという。