雨が降っていた。
ベランダに出てキラキラと輝く街を眺め溜め息を吐き出す。
どこからか流れてくるタバコの匂い。
いつもなら噎せるのに今日はなんだか心地よかった。
一体俺は何を求めているのだろう。
何を望んでこの街に来たのだろうか。
君がいなくなったこの街は俺にとって何の価値のない、意味のない、ただのコンクリート
にすぎない。
もうひとつ溜め息をつけば、
「あーあ、また幸せ逃げちゃうよ~」
と笑う君が脳裏をよぎる。
なぁ、俺、どうしちまったんだろ。
君がいないとどうも落ち着かない夜。
こんな夜には二度と会いたくない。
俺は君を追うように光の海へと飛び込んだ。