私には、普通の人には見えないものが見えている。

お父さんもお母さんも私が3歳なるまですごく優しかったし、私を愛してくれた。

私が3歳になって数ヶ月がたったある日、私は幽霊やあやかしが見えるようになっていた。

……けど私は不思議と怖くなかった。皆が思っているよりも怖くない、むしろ優しい幽霊やあやかしの方が多かった。

でも、両親は誰もいないところで喋っている私を恐ろしく感じたのか、あまり話しかけてこなくなった。
両親が何で私と目を合わせたり話すことが少なくなった理由が分からなくて…
『お父さん、お母さん…どうして柚希(ゆずき)と遊んでくれないの?……柚希何か悪いことしたの?』
そう両親に言ったら、お父さんが怖いものを見て怯えるような顔をして
『ゆ、柚希は、ば、化け物だ!気味が悪い!』
と言って家を出ていってしまった。
私は『化け物だ!』『気味が悪い!』の言葉で、胸がズキズキして痛かった。




お母さんは、お父さんが家を出ていってから私と極力会わないように、毎日朝早くから働き
帰りは夜遅くに帰ってくるのが日常になっていた。


寂しくないって言ったら嘘になる。…まだ3歳なのに、お母さんが居ないと…やっぱりサミシイ

でも、お母さんが仕事に行っている時は幽霊やあやかしと一緒に遊んだり、お喋りしてくれるから余り一人でいることはなくなった。














ある日、柚希は考えた。
お母さんたちが、柚希を避けたりするのは…きっと幽霊やあやかしが優しい人達ってことを知らないからなんじゃないか…と。柚希が喋っているのは、恐ろしい人達ではないか?と思っているのかもしれない。
…それをお母さんに優しい人達だよ?って説明すれば、理解してくれるかも!








その日の夜…柚希は、お母さんが仕事から帰ってくるのを待っていた。

11時過ぎに帰ってきたお母さんは、柚希が寝てたいと思っていたらしく、驚いていた。

『お母さん、あのね?幽霊やあやかしたちは、お母さんたちが怖がることはしないよ?…すごく優しいし、たまに悪さするあやかしや幽霊も居るけど悪い人じゃないんだよ?』

そう言っても、お母さんの目は昔の優しいし頃の目ではなかった。むしろ怯えている、変なものを見ている目だった。

『話しかけないで、あんたの話しなんて聞きたくない!…私まで変な目で見られたらどうするの?こんな子外に出しちゃ行けないよ!』

そう言って柚希の腕を強く掴んで、私の部屋に連れていこうとした。

『痛いよっ!お母さん!』
私は痛くて泣いていると、お母さんは『うるさい』と言って、柚希の部屋に柚希を投げるかのように、部屋の中に閉じ込め鍵をかけた。

すぐにドアの前にたち、ドンドンと叩きながら
『お母さんっ!開けて!一人は嫌だよっ!』
そう言っても、ドアを開ける気配はなく柚希は、泣き崩れた。































数週間後…














あれから、ずっと部屋に閉じ込められている。





















…お腹空いた。喉が乾いた。




お母さん……私のこと、嫌いになったのかな?























    ナンカ、 ネムクナッテ……キタ。










だんだん意識が遠くなるのを感じて、死ぬかもしれないとすこしだけ少しだけ思った。
最後でいいから、お母さんに会いたかったな。

そう思うと涙が零れた。














































もう眠い、寝てたい。

















































































































意識がなくなる直前、男の子の声が聞こえた気がした。




















































































































































































































































































































































『死なせないよ。君は僕たちの大切な~~』



















































































『…あれ?わ、私生きてる…』
意識が遠くなる少し前に、男の子の声が聞こえた気がしたけど…気のせいだよね?
そもそも、私の部屋は外側から鍵をかけられているし…




『あっ!起きましたか?心配しましたよ、あと少しで柚希さまは、死んでしまうとこでした』

私が起きたことに気が付いたのか、嬉しそうに話しかける男の子。

『…あなた、誰?何で私の部屋には居れるの?早く出ていかないと、私のお母さんに怒られるよ!』

私は、お母さんがここに来るかも…と思うと体が、ぶるぶると震えた。
勝手に知らない子を部屋に連れてきてしまったこと。
…どうしよう、この子がお母さんにバレたらまた、怒られるの?
また、数週間部屋に閉じ込められてそして、またお母さんに…お母さんに…
『大丈夫だよ。柚希さまは、もうあの人に怒られたりしないよ?…柚希さまは、もう少ししたら自由になるし、今までよりももっと愛を知ることが出きる。』

自由になれるの?…今までよりも、もっと愛を知ることが出きる?
『それより、柚希さま!…お腹すいてますよね?おにぎり食べます?あと、お水もありますよ』
私は、お腹が空いていたのと喉が乾いていたのを、すっかり忘れていた。

『えっ?いいの?あなたは、食べなくていいの?』

男の子は、頷いた。
『それは、柚希さまのために…僕が作りました。…美味しくなかったですか?』

私は、『凄く美味しいよ?』と言うと、男の子は嬉しそうな笑みを浮かべていた。















おにぎりを食べ終わって、お腹一杯になったとき…
『…柚希さまに、渡したいものがあります。』
そう言って、男の子は私の手のひらになみだのような、雫のような形のネックレスをくれた。

『柚希さま…僕はそろそろ帰らないと行けません。…これから、楽しいこと、嬉しいことそして、悲しいことがあるかもしれません。……ですが、僕は必ず柚希さまに会いに行きます。いつ会えるかは分かりませんが、待っててください!』



『…会える?私が一人で寂しい時、会ってくれる?』










男の子は悲しい顔をして言った。






























『…いつか必ず会いに行きます。』










































































































































































『…き、…ずき……柚希、起きて』

気が付くと、もうあの子は居なくって…お祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいた。


『…お祖父ちゃん、お祖母ちゃん…お母さんは?』



お祖母ちゃん達は、悲しそうな顔をしているとお母さんが来た。

『柚希、あんたは今日からお祖母ちゃん達の家に行きなさい』

『……え?何で、柚希の何が駄目だったの?悪いとこ全部直すから、お母さん…捨てないで』











お母さんは、お祖母ちゃんと話をして何処かえ行ってしまった。
 



私は、お母さんに捨てられたことで…頭が真っ白になって、本当はお母さんを追いかけるべきなんでけど……





私は、泣くことしか出来なかった。
















































































































あれから何日かたって…私は、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんに今までよりも、大事にされ、愛されていた。




ちなみに、お祖母ちゃん達は私が…あやかしや幽霊が見えることを知っても、怖がらないでいてくれた。逆に『どんな人なの?』とか『柚希がお世話になっています。』と見えないけど、どんな人なのか気になるらしい…

















ある日、私は近くの公園で(一人で…)遊んでいた。
あの日男の子に貰ったあのネックレスは、毎日着けている。

また、あの子に会えるかもしれないから…






一人でブランコを漕いでいると…優しそうな女の子あやかしが、近づいて来た。

『こんにちは、あなた…もしかして柚希ちゃん?』


『?…え、お姉さん私のこと、知ってるの?』


お姉さんは、私が柚希だと分かったのか…頭をなでなでしてきた。

そして…『何か困ったことがあれば、すぐに言ってね?…あ、私の名前はスミレ。』

『スミレ…スミレおねーちゃん!』
私が、そういうとスミレお姉ちゃんは、目をキラキラして、私の頭をなでなでした。

























『ねぇ、君…あやかしが見えるの?』
私とスミレお姉ちゃんの目の前に、私と同い年くらいの女の子が、話しかけてきた。



『…え!あなたも見えるの?』