「うちはね、世に言うヤクザってやつなんだよ。
でもね、今は法令やらなんやらでヤクザの活動自体できないのが現実なんだ。
だからうちは普通の飲食店を経営したり、金貸とかも行なっている。
聞こえは悪いかもしれないけど、悪いことをしている訳じゃない。
それに結婚したからといって、南央さんに危害が及ぶこともない。
もちろん、うちに来て一緒に住んでほしいが、それは2人が決めることで強要はしない。
でも一つ、頼むことがあるとするなら…
男の子を産んでほしい。
男の子が出来なくても構わないが、我々の1番の望みはそれかもしれないからね。
うちは代々男子が家督を継ぐようになっていてね。
新は次男で家督は長男が継ぐ予定だ。
家督を継ぐには申し分ないのだか、長男は同性愛者でお互いの間に子を成すことができないんだ。
もちろん、南央さんに子どもを作る予定がなければそれでも良い。泉、長男に養子縁組をさせることだってできるからね」
「私は子ども、欲しいですよ」
「そうかそうか。それは良かった」
「男の子を産めるかどうかは分かりませんが」
「いやいや、孫の顔が見れるだけでも嬉しいよ。
話はこれくらいかな、初、お前から何か言っておきたいことはあるか?」
「南央さんが本当に素敵な方で良かったわ。後で女だけで話しましょ」
「はい!」
「そうだ新。泉は今うちで過ごしているから、後で顔を出してやると良い。きっと喜ぶ」

