車に揺られながら、走ること1時間ちょい。
「着いたよ。ここが僕の実家」
車から降りて私はあっけらかんとした。
「えっ…」
「あ、ちょっと待って、まだ乗ってて。ここからまだ中に入るから」
窓を開けて私に声かける新。
ここからまだ中に入るの⁉︎
すると急に目の前の大きな門が自動的に内に開いていく。
「さあ乗って」
助手席に再び乗り込み、新はアクセルを踏む。
「あとで説明するから」
ゆっくりと車は進んでいく。
門をくぐってから5分ほどして、ようやく
「着いたよ。けどまだ降りないで。ここで説明させて」
降りようとする私を止め、新が口を開く。
「僕の家はこの辺りでは名の知れた極道…もとい、資産家なんだ。だからといって危ないことをしているわけじゃない。
昔この辺りを収めていた家柄なだけ。
極道をどんな想像をしているかは分からないけど、そんなに心配しないで」
最後に笑った新は私を安心させようとしてくれている。
「うん。ありがとう」

