催促するかのように、靴を脱がされ洗面所に通され、最後にリビングに誘導された。
「ただいま、お父さん」
リビングのソファに座っている父。
私の声が聞こえると
「南央お帰り」
と優しく迎えてくれた。
「お邪魔します」
私の後ろから、ひょっこり顔を出した新。
「さぁさぁ、南央も金木くんも座って座って」
お父さんの正面のソファに座り、少しの間の沈黙ができる。
テレビはつけっぱなしで、静寂とまではいかないが、きっと新は喉が渇き切っているに違いない。
「もう少しで全員揃うから、もう少し待ってね」
沈黙を破ったのはお母さん。
「お兄ちゃんたちも来るの?」

