試着室を出ると、新とさっきまでいた店員さんがレジの前で話しているのが見えた。
「久しぶりね、新」
「…」
「そんなに冷たくしないで、元カノなのに」
“元カノ”
その一言が私の胸に大きく突き刺さる。
「新」
私はいつの間にか、新の袖を掴み、名前を呼んでいた。
「南央さん」
新は少し困ったような顔をしたが
「さっきの新しいやつを買ったんで、もう行きましょう」
私の肩に腕を回し、店外に出る。
途中
「またね、新」
とさっきの店員さんの小さな声が聞こえたような気がしたが、空耳だと言い聞かせ、店を出る。
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