イケメン従者とおぶた姫。

次の日の朝。


みんな集まって朝食を食べていたのだがなんだろう?なんか、ギスギスしてる人が何人かいる気がする。

シルバーとオブシディアンが来てから、
妙に目覚めのいいショウは、オブシディアンに焼いてもらったお肉を頬張りながらそんな風に感じ周りの様子を見ていた。

それにしても野宿だというのに
シルバーとオブシディアンと一緒に旅をするようになってから体があまり痛くないのだ。

いつもなら、野宿や素泊まりをすると
固い地面に直接寝るか薄い生地を敷くかだけで寝なければいけないので、体中がギシギシと痛み痛くて次の日なんか動くのがとてもとても辛かったのだが…。


…旅を続けてるうちに慣れたんだろうか??体が丈夫になった???

…急に???

…はっ!

もしかして覚醒ってやつ!??


なんて、不思議に思いながらも
周りのおかしさが気になって、どうしたんだろう?と、チラチラ様子を見ていた。


朝食の為、焚き火を囲う形でみんな輪になって座っていたのだが。


…おややぁ?


いつもなら、ヨウコウを真ん中に挟む形でゴウラン、ミミがぴっとり隙間なく座っていたのだが。

今日はいつもと何かが違う。

いつも通りミミは、ヨウコウにぴっとり寄り添う形で座っているのだが
ゴウランは、いつもよりヨウコウから距離を置きヨウコウとミミに若干背を向け座っている。

ミオは、いつも通りヨウコウ達から少しばかり距離を置き座っている。

ヨウコウもゴウランのそれは気になっていた様で


「…何かあったのか?朝起きた時からおかしいぞ?」


と、ゴウランを気遣い声を掛けた。


「…いや、大丈夫だ。ただ、夢見が悪くて…すまない。」


ゴウランは、俯き加減にそう言って少し笑って見せた。


「まあ、そういう時もある。気にするな。」


ヨウコウはそう言うと、いつも通りミミにお世話されながら食事をしていた。
今日はオブシディアンからの肉のお裾分けがあり、久しぶりの肉にみんなテンションが上がっている。

だが、ゴウランだけは野宿ではなかなか食べられない貴重な肉を食べていても食べた気がしない。せっかくの肉なのに…と、ゴウランは更に気分を落としていた。

今まで気付けなかったが、ミミはまるで
ヨウコウの彼女みたいな振る舞いをし、ベタベタいちゃいちゃしている。ヨウコウもまんざらではない様子だ。

今までは、ヨウコウは王子でミミはメイド。だから、ミミは逆えず仕事だから仕方なくしていると思っていたので大して気にしなかった。…気にしないように耐えられたのだが…。

これはゴウランがミミに惚れてると知りつつ、ヨウコウはわざと見せつけているのだろうか?

ミミも、ヨウコウよりゴウランが好きだ、ヨウコウは大人ぶっててもまだまだお子様。と、言いつつのコレだ。

そう思ったら、ヨウコウとミミがとてつもなく薄汚い存在に思え、だんだん気色悪くさえ見えてきた。


「…ゴウラン様、ご気分がすぐれなくてもぉ、ちゃんと食べなきゃですよぉ?」


ミミがヒョコッと小さな体を傾け、ゴウランを見て心配そうに声を掛けてきた。


「…ああ…」


…身震いがする。

甘ったるく声を掛けられ
いつもなら、これで舞い上がりやっぱりミミは俺に気があるとテンションが上がっていたのだが。

昨日の出来事によりミミに対し疑いしか出てこず、これがミミの本心でないと感じどの口がと。

どうせ、陰でヨウコウと二人で俺の事笑うつもりなんだろう?と、苛立ちと寒気が走った。

と、ゴウランがどす黒い感情と戦ってる中ショウは、そんなゴウランの様子をどうしたんだろう?

いつもと違うなぁ。ヨウコウ様と何かあったのかな?

そう思いながらも、更に昨日とは違う変化…自身に起きている変化に戸惑っていた。

…だって…


「ショウちゃんは、いっぱい食べてかわいいな!育ち盛りなんだから、いっぱい食べて大きくなるんだぞ。」


ショウのすぐ隣に座っているダイヤが、ありったけの笑顔でショウに話しかけていた。

その内容に、ショウは驚いたし、周りなんて盛大にブフゥゥッッ!!?と、吹いている。

ヨウコウとシュリは、声に出して笑ってるし他の人達も笑いを堪えるのに必死だ。

オブシディアンは微笑ましそうにクスリと笑っていて、笑いの種類が違っている。笑ってないのはシルバーのみであった。


「…え?あ…うん。」


ショウは周りの反応に、顔を真っ赤にしながら


…な、なんて事を言うんだろう、この人は!!?

みんな、笑っちゃってるよぉ!

は、恥ずかしいぃぃ〜…!


なんて思い、思わず俯いてしまった。


「オレな、兄弟いないけど。でも、弟か妹欲しかったんだよな!
そしたら、ショウちゃんが現れてさ。俺に妹ができたって思ったら、急に父性が湧いてきてな。そう思ったら、可愛くて仕方ないぜ!」


そう言いながら、ダイヤはニッコニコでショウの頭をワシャワシャ撫でまくっていた。…まるで、幼い子供かペットにでもなった気持ちだ。

…でも…

…ん?

おかしいな?

ダイヤさんって、王子様なんだよね?

…王子様とかお姫様って王様の子供って事だよね?

確か、王様の子供はたくさんいたはずで…。

だから、兄弟もいっぱいいるはずなのに

“兄弟がいない”

って、どういう事だろう?

よく、分かんないや。


と、ショウが首を傾げていると


「…プッ!…ぶ、ブタが、妹など…!
ブフゥッ!!ない、ない、あり得ない!!」


ヨウコウとミミが盛大に吹いて笑ってきた。

すると


「…え?ブタの妹なんていないぜ?
ヨウコウ殿は、明日で15才になるんだったよな。ボケるには、まだ早いんじゃないか?」


「…なっ!!?
余を馬鹿にするのか!?」


「…ダイヤ様、酷いですぅ〜」


ダイヤの言葉に、ヨウコウは激怒しミミは、ヨウコウが可哀想だと目を潤ませションボリして見せた。


「…ハンッ!酷いのはどっちだか。」


呆れたように言葉を漏らすシュリをヨウコウは睨んできて


「…貴様っ!余を誰だと思っているんだ!」


と、凄んだ。


「もう、信じられないですぅ!王子様に逆らうなんて有り得ない。」


ミミも、なんて失礼な人なの?と、プンプン怒って見せた。


「…もう、ここまで来ると呆れを通り越してある意味、尊敬するっスわ。」


ハルクは、呆れ過ぎて深ぁ〜いため息を吐き、しらけた顔をしてヨウコウとミミを見ていた。

…自分のせいで、場の雰囲気が悪くなったと感じたショウは


「…私は大丈夫だよ?」


心優しいダイヤ達が自分をフォローしてくれて、そのせいで話が拗れてこんな言い争いが始まってしまったと責任を感じたショウはダイヤに声を掛けた。

すると、ダイヤは目を大きく見開き


「…みんなの心配してくれるのか?
なんて、いい子なんだ。」


大した事なんて言ってないのに、ショウを大絶賛し


「ご褒美に、アメちゃんあげるなー。」


と、ポッケから飴玉を取り出しショウに渡した。ショウは、旅に出てから滅多に甘いものなんてたべれないから

飴の存在が嬉しくて、思わずにこ〜っと笑って“ありがとう”とお礼を言ってすぐに口に頬張った。


…な、なんて美味しいんだろ〜。

これ、パインミルク味だ。美味しいな。


なんて、小さな幸せを噛み締めていた。

その姿を見た、ダイヤは


…ギュン!


妹って、可愛いもんだなぁ。


と、父性本能を擽られ、ほっこりとした気持ちでショウを眺めていた。


そんな事もありつつ、一行は力を合わせて村に向かう事となった。

道中、魔物に出くわすも

ダイヤ達が先陣を切って戦っていたので、シルバーやオブシディアンはショウを守る事だけして何も手助けなどしなかった。

そしてダイヤが勝利するも、それをシュリがダメ出し。なかなかに厳しい指導だ。

だが、良かった所を言うのも忘れない。



ダイヤ一行の戦いぶりを見ていて、ゴウランは衝撃を受けていた。

…強いの一言。

自分やヨウコウが、手も足も出ない魔物相手に、大した苦戦もせず勝利している。

シュリやガブに至っては、まだまだ余裕がありそうだ。

…おかしい…

確か、自国を出発した時点では、ヨウコウは王位順位一位。

自分やミオだって、城の訓練生(15才以上23才以下)でトップの成績だったから
トップの王子とグループになって護衛として旅を始めていた筈だ。

なのにだ。何なんだ?この差は…


ヨウコウをちら見ると、ヨウコウもかなりの衝撃を受けているようだった。


「…こんな筈は…アイツは、余より格下のはず…」


木の陰に隠れながら、そんな事を呟き現実を受け止めきれずいる様子だ。

ミオも岩場に隠れ、悔しそうな顔でダイヤ達の戦いぶりを見ていた。こっちも、信じられないという顔をしている。

ミミなんて

「ダイヤ様、カッコよすぎ!」

なんて目をハートにし、キャーキャーと色めきたっている。


…だが、ゴウランは納得できてしまった。

何故なら、昨日のあの厳しい修行風景を見たから。あれは、きっと気分でたまたまやっていた修行なんかじゃない。

毎日、何の妥協もせず努力を惜しまず続けてきたからこその努力の結晶。

ただでさえ、大変な旅なのにあんなに努力できるなんて、やろうと思ってもできるもんじゃない。

現に自分達は宿に着き食事を終えるなり、もう動けないとグッタリで即寝落ちてしまう。

何日か宿に泊まって体が回復すれば、ショウの費用で遊びに行ってしまうの繰り返し。


シルバー達はどうしているのかと見てみると、ダイヤ達の戦いなんて見てもいなくてオブシディアンは彼らが戦っている間に、せっせと食料になるものを物色していてキノコなど採取していた。

シルバーは…あれは何をしているんだ?と見てみれば、一見ショウを抱き締めてるように見えるが…違う。

よくよく見ると、巨体なショウの体を抱き上げ、ショウの顔を自分の胸に押しつけ目を塞いでいる。

そしてシルバーに指示されたのだろうショウは、自分の耳を両手で塞いでいる。

あれは、魔物達の戦いを見せないようにと配慮した行動だ。

…抱っこするのは、生きすぎてる気もするが。そもそも、ショウのあの巨体を軽々持ち上げてるシルバーの超怪力と体力に驚くしかない。

あんな細身のどこに、あんな力が…!?筋肉と身長体格だけなら、シルバーよりも断然ゴウランの方があるってのに。

それはさて置いてだ。

…今まで考えもしなかったが、一般の子供に人や生き物の殺し合いなんて残酷過ぎて見せられない。

普通なら大人でも、こんな恐ろしい光景なんて見せられないだろうに。

…ましてや、ショウは子供なのだ。精神を病むかトラウマになりかねない。


…これが、本来の護衛の姿なんじゃないかと思う。少し、ズレてる部分もある様だが…。

シルバーは少々天然が入っているのかもしれない。

しかし、主人を守り弱き者への細やかな気配り配慮も忘れない。

戦いが終わると、シルバーとオブシディアンは死体が転がっている現場を見せないようにショウを誘導して歩いていた。

ダイヤは、勝っても喜ぶ事もせず
魔物に手を合わせていた。


そんな日が、数日間続き

一行はようやく村に着く事ができた。
そして比較的安い宿に泊まろうとした時、事件は起きた。



「おい!クソガキが、とっとと歩け!
テメーがチンタラしてるせいで、こっちがどんだけ迷惑してるか分かってんのかっ!!」


と、40代くらいだろうか?厳つい大男が、8〜10才くらいの少年に向かい怒鳴りつけていた。


「オメーが、トロいせいで、こんなに時間くっちまって最悪だ。待ち合わせに、遅れちまったじゃねーか!」


次に中肉中背の男が、少年の腹を蹴り上げた。

少年はガリガリに痩せ細っており、男の蹴りで大きく吹き飛んで行きあまりの痛さに呻いていた。


「遅刻とか最悪!ウチら、部屋で大事な話しなきゃいけないのに。
お前は、いつも通り素泊まり部屋行ってよね。そうそう、ウチらの荷物はちゃんと部屋に届けてよ。」


と、中肉中背の男と腕を組んでる女が少年に唾を吐き捨て、男達は少年をあざ笑いながら宿に入って行った。

…なんて酷い事を!

一行は、とても胸糞悪いものを見て怒りがこみ上げてきた。


ショウは居てもたってもいられず
思わず少年の所まで駆け寄ろうとしたところで、誰かの手がお腹にまわってくる感触がし、そこにグイっと引き寄せられ


「関わっては、いけません。」


と、シルバーに止められてしまった。


「…で、でも、すごく、可哀想だよ?」


ショウが助けてあげよ?と、シルバーを見上げると、シルバーは


「今、助けた所で、あの子供にとってはありがた迷惑になるでしょう。」


なんて、よく分からない事を言ってきた。

どうして、助けたら迷惑なの?自分だったら凄く凄く嬉しいのに。

納得いかない顔で、シルバーを見ていると


『見たところ、母親、母親の愛人、奴隷売りのように思う。どうやら、何らかの事情で旅をしていた風だ。
おそらく、あの母親と愛人の男は、あの少年を奴隷売りに売ろうといている。

それに、もし、今あの少年を助けたとして、それがあの親達にバレたとしたら、周りにバラしたと怒り虐待がエスカレートするだけ。』


オブシディアンが、ショウの近くまで来て説明してくれたが驚きでしかない。

…え?

あの人、あのこお母さんなの?愛人って何?

奴隷売りって??


親なのに、どうしてあんな酷い事するの?

自分の子供を売る…?奴隷??


と、ショウは意味が分からないとオブシディアンを見てきた。


『残酷で信じがたい話ではあるが、世の中には、そういった人道を外れた愚かな人間もいるよ。
あれでもマシだと思えるほど、もっともっと酷い事をする更に上をいく悪魔のような人間も存在する。

世の中は、様々な残酷で溢れてる。それを知らず生きてる者がほとんど。
だが残念な事に世の中には、その残酷の中で生きている人達がいるのが現状。

世の中には、知らない方が幸せな事がたくさんある。』


オブシディアンの説明に、ショウは酷くショックを受け固まってしまっていた。


『もし、救いたいのなら、そういった施設に相談するか警察に通報。それが、あの子にとって一番いい方法だ。

もし、自分の手で救いたいと思うのであれば自分より相手を思い行動し続けその者が自立できるまで責任を持つ覚悟がなければならない。

だから、生半可な気持ちで手を差し伸べるのはおすすめできない。』


と、オブシディアンが説明する横で


「…なんと酷い事を!」


ヨウコウは、酷いものを見たと言わんばかりに顔を顰めていた。だが、薄汚れている少年に近づきたくない為、


「早く、あの少年を助けてやれ。」


と、ミミに命令し、ミミも少年が薄汚いので近づくのを物凄く嫌がっていた。

少年はどのくらい体を洗っていなかったのか、服も洗濯してなかったのだろう全身泥まみれの垢だらけ髪もボサボサのデロデロ。

もはや、少年がどんな容姿をしているかさえ全然分からない状態だった。

そんな少年に近づきたい者などいない。むしろ、遠ざけたいほど醜く見えるし…汚い…臭い。

そうしているうちに、少年は両親達の荷物を持ち宿の中へトボトボと入って行った。

とても嫌な気持ちになりながら、ショウ達も宿に入って行くと荷物を両親の元へ運び終わった少年は絶望的な顔をしながら、素泊まり部屋へと入って行った。

ヨウコウ達は、少年が気になったのだろう。可哀想な少年を見に、素泊まり部屋を覗くと…なんて可哀想なのだろう。

下に敷く物もなく、直接床に身を縮め小さくなって寝ている。

よく、こんな酷い真似ができるものだ。と、ヨウコウは酷く憤りを感じ酷く心が痛んだ。ミミも可哀想だとポロポロ涙を流し泣いていた。


宿の食堂へ行けば、少年の姿などなく
母親と愛人、大男が、ご馳走を食べている。

食堂を出て、母親が少年の前まで来ると


「お前なんかに、やるのも勿体ないけどさ。明日で、お別れだから特別に食わしてあげる。有り難く思いなさい。」


そう言って、一つのおにぎりを少年に投げ付け去って行った。

少年は震える手で、床に落ちたグチャグチャになったおにぎりを拾い泣きながらおにぎりを食べていた。

あまりの事にヨウコウ達は可哀想過ぎて、少年を見ていられなくなり目を背けてしまった。


酷すぎる!なんて、恐ろしくおぞましい事を!

なんで、こんな悪魔のような事ができるのか!こんな事が許されてたまるか!!


と、ヨウコウ達は憤慨した。

…しかし、ここでゴウランはハッとし、
思わず、ミオの顔を見た。

すると、ミオも青ざめた顔をしながらコクリと頷いた。

その瞬間、ゴウランはサー…と、全身から血の気がひいていくのを感じた。


あまりに、似過ぎている。


この少年とショウが重なって見える。
あの大男と少年の両親の姿が、自分達と……重なる。


…ドクンドクンドクン!


心臓が動くたび、冷たい血が全身を巡り始める。

自分達がやっている時は、何も感じなかった事。

周りに注意されても何も悪いとは思わなかった。何が悪いってショウが存在するだけで悪いと笑っていた。

ただ、心のどこかでは、悪い事と分かっていたのだろう。

ショウを仲間外れにしイジメていた事を、何も知らない人達にはひた隠しにしていた。

ショウの事に気がつき、どうにかしてショウを助けようとする者が現れたり、ショウが周りに助けを求めようものなら

ショウへの当たりを強くしイジメをエスカレートさせ、自分達に逆らうともっと酷い目にあわせるぞと脅迫する。


周りに指摘され、都合が悪くなれば
自分達は悪くないと逆ギレする。

言い返せない相手の時は、ムスッとしながらも外面は分かった素振りを見せ、上から目線であるが謝るフリをした。
だが、中身は全く反省してないどころか自分を叱った相手もショウにもムカつきイライラが増すだけ。

その苛立ちさえもショウにぶつけていた。


…何をやっていたんだ、自分は!


今更、悔やんでも悔やみきれない犯罪者になった気分だ。

ミオもゴウランと同じような気持ちらしく、青ざめガタガタと震えている。


けど、これは当事者でなく冷静に見る事ができて初めて知る事ができた事。
もし、自分がショウやあの少年の立場にいたら…そう考えただけでゾッと寒気が走る。

その立場も、漠然と想像するのと実際その立場になるとでは全然違ってくるだろう。想像を絶する体験になる事だけは容易に想像できる。


そんな二人を見て、どう勘違いしたのか
ヨウコウは


「…全く、人を人と思わん外道が存在するとは。余が王になったら、そんな事は絶対に許さない。」


と、決意表明してきた。すると、すかさずミミは


「ヨウコウ様、さすがですぅ。
こんな優しい人、見た事ありません。」


「ハハ!それは、言い過ぎだ、ミミ。」


「そんな事ないですよぉ!」


ヨウコウを褒めちぎり、ヨウコウもまんざらではなく上機嫌になっていた。とんだ茶番だとゴウランとミオは気持ちが下がった。

ダイヤ達は、ヒーロー気取りなヨウコウの言動を見て呆れて絶句している。

おバカなショウは、凄いなぁと感心していてそれに気付いたオブシディアンは、ちょっとため息が出てしまっていた。

シルバーは、ショウのあまりのおバカさっぷりに我慢ができなかったのだろう。

ショウにあれは良くない例だと、クドクド説明していてショウはお説教された気分になりズーンと凹んでいた。


そんなショウ達の様子を見ていて、ダイヤは

「…う〜ん…?」

と、何やら考えていた。