あたしが結婚するのは幼なじみのアイツなんだな、って勝手に思い込んでた。でもアイツはあたしのことをただの幼なじみとしか見てなかったんだ……。想いを伝えていないのに、急に失恋してしまった。

「……ッ!うぅ〜……」

悲しみがこみ上げて、あたしはその場にしゃがみ込んで泣き出す。こんなに泣いたのは小さい頃以来だ。どんなに悲しくても、苦しくても、今まで涙も弱音も我慢してやってきたから。

その日はどんな言葉をかけられても、あたしの心に何一つ響かなかった。



アイツの結婚式の日が迫ってきた。あたしは飛行機に乗って地元へ帰る。結婚式に花嫁として参加したかったな……。

結婚式であたしはその日のために新曲を作って歌うことになっている。幸せで明るい純愛ソングがいいとアイツから言われてしまった。

「愛梨がさお前のファンなんだって!サインと握手もしてやってくれ」

そんなことを嬉しそうに言われて、あたしは「はいはい」と無理して笑うしかなかった。まだあたしはアイツのことが好きで、アイツが花嫁さんの話をするたびに傷ついている。