私たちは何をするにも一緒だった。同じものを好きになり、同じものを欲しがり、一緒に使ったりしてきた。
「ねぇ、バレー部のキャプテン良くない?」
それは人でも同じだった。どちらかがいいと思う人は互いにそう思う、なるで全て分け合うように運命付られているかのように。
もちろん好きな人の奪い合いとは少し違う。私の『いい』は『善い』人でしかなく、貴女の言う『いい』は『好い』人だ。
「分かる、いいよね」
「あー!その他人事みたいなの傷ついた!泣く!」
「どうしろってのよ…」
貴女は私とは反対に明るくて、でもちゃんと私の意図を汲み取ってくれる。茶化しはするものの本気でそう思うことは無いようで、だから気を抜いてテキトーなことも言える。
「もっと応援してくれたっていいじゃんかー!」
「そういえばマネージャー募集してたかも」
その手があったかと言わんばかりにキラキラした目で立ち上がった
「あたし、バレー部のマネージャーしようかな」
「ふーん…いいんじゃない?」
私の反応に不服そうではあったが、ともあれその場で部活の申請書を書いて提出しに走り出した。好きなことには一直線になるのは昔から変わらない。いつでも一生懸命な彼女が幸せになれるといいな、なんて柄にもなく思ったりする。決して本人には言わないが、これでも気持ちだけは応援しているつもりだ。誰だって好きな人の幸せは願うものでしょう?

そんなもっともらしいことを理由に彼女の親友というポジションから離れたくないだけかもしれないが、親友は恋人に一番近くて1番遠い。だからこの場所を守り続けたい。この気持ちだけは墓まで持っていくつもりで胸の内に秘めたままにする。
「お待たせ!提出してきた!帰ろー」
「遅い」
本当は上手く行けばいいなんて思ってるのはほんの少しだけで、だからほんの少しだけ応援の代わりにヒントをあげる。その代わりあなたのことを好きなままでいることだけは許してね。