「ああ、ラナはこれが何かわからないよね?これはね死体。人は死んでそこら辺に放置されていたらみんなこうなっちゃうんだよ」

死体?一体誰の……?そう質問しようとした刹那、私は見覚えのあるグレーの髪に体が震える。考えたくもなかった。あの人がこんな風にされてしまうなんて……。

「アハハ。その顔すごくいいね。絶望に染まって綺麗。……今度こそ俺にちゃんと堕ちてね」

涙を流し、変わり果てた男性の遺体を見つめる私を見てお兄さんが笑う。そしてさらに聞きたくないことを言った。

「そうそう。コイツの目はくり抜いておいたよ。よかったら見る?」

私はこの人から逃げられない。逃げたらまた誰かがお兄さんに殺される。

「もう絶対に逃さねえ。お前は俺とずっと一緒にいるの。一生!!」

ジャラリと鎖が音を立てる。私の心はもう何も感じていなかった。

「お兄さん、好きだよ……」

機械的にそう言い、私は自らお兄さんの唇に口付けた。