■ 「…っ、おい、どうしたの、」 「………どうもしてないです」 扉をあけられてすぐ、なだれ込むようにその腕の中に飛び込んだ。 心に空いた虚しさを、今すぐに埋めたかった。 「くるときは連絡してよ、片付けとかあるし」 「……コウキの部屋はいつも綺麗じゃん」 「こうやって誰かさんが突然くることがあるから、綺麗にしてんの」 「ふうん」 トントンって、わたしの頭を撫でる大きな手がすきだ。 この腕の中にずっと居られたら、幸せだろうなって何度思ったんだろう。 いつから、そう思ってるんだろう。