君に毒針



───樋野くんという存在は、やっぱりわたしにとってのイレギュラーだ。異常だ。

必死に守ってきた心の中に、踏み込んでくる。

ずっと、リュウ先輩と清水先輩とわたしの3人で回っていた小さな小さな世界が、崩れていく。



「俺、リュウ先輩といる先輩よりも、俺と一緒にいる先輩の方がすきです」

「………なにそれ」

「リュウ先輩なんか辞めとけば?ってことです」



ああ、ほら、樋野くんはやっぱり壊す。

いちばん言って欲しくないセリフをいとも簡単に吐き出して、わたしの心をぐちゃぐちゃにする。






「ミナ先輩の大事にしてるすきは、もう、終わりにしたほうがいいですよ」