「じゃあ聞かないでよ言わないから」と言葉を続けたかったのに、樋野くんは許してくれない。
アツアツのポテトフライを頬張りながら、逃がさないよ、とでも言いたげにわたしを見る。
「で、どこなんですか?リュウ先輩のどこに、今も惹かれてるんですか?」
樋野くんの視線が言葉が、全てが、刺さる。
何回も聞かれたこと。何度も説明したこと。同じように言えばいい。いつものように、みんなに説明するみたいに言えばいいだけ。
リュウ先輩と会った時、運命を感じてしまった。それで今もずっとすきなんだって、そう口を動かすだけ。
それだけで済むのに、樋野くんの視線がそれじゃダメだよと言ってるようで、思い描いた理由がほろほろと空中分解する。


