君に毒針



「リュウ先輩のどこがすきなんですか?」



咀嚼しているポテトフライの味が、一瞬わからなくなる。
真っ直ぐな樋野くんの問に、どうしてか向き合うのが怖い。

何十回、何百回聞かれたのかわからないお決まりの質問なのに。

サクラにも高校時代の友達にも他のサークルのメンバーにも。みんなに嫌ってほど聞かれた。
聞かれたけれど、今、それを問うのはやめてほしかった。



「…どこって、言わなかった?新歓のとき、嫌ってほど」



視線も言葉もすべて逃げる。逃げないと、いけない。



「言われたかも」

「じゃあ、」

「でも、今聞きたいんです。あの時は、先輩のこともあんまりよく知らなくて、わからなかった部分もあったから、」