4年間重ねたすきは、苦いし痛いし傷だらけだ。
わたしの持つリュウ先輩へのすきは、いつからか忘れてしまったけど、ずっと苦しくて、4年前の真っ白なすきとは、もう全くの別物。
───だから、断れなかった。デートの意味はわかっていたのに、すき、を盾に出来なかった。
盾にしたら、本当はとっくにぼろぼろなんだって気付かれる気がして、出来なかった。
「まあいいです。来てくれたことだけ喜びます」
「う、ん」
「行きましょ、」と。樋野くんが歩き出して、わたしも遅れて歩き出す。
手持ち無沙汰で、肩掛けカバンの紐をぎゅうっと握れば、手のひらに食いこんだ爪先が、なにかの代わりにわたしのことを責め立てている気がした。


