君に毒針



わたしはどれだけ彼に依存してるんだろう。

あの甘い毒に、どれだけ。



清水先輩の優しさは、残酷だ。
どうして優しくしてくれるんですか?どうして慰めてくれるんですか?どうして抱きしめてくれるんですか?どうして涙を拭ってくれるんですか?
何度だって問いかけたその質問たちに、俺がしたいだけって笑う。
本当はたったひとつの理由があるのに、それを隠して、笑う。



清水先輩の悲しい笑顔が嫌いだ。
無理に笑う顔を見ていると、責められているようで泣きたくなる。


わたしも清水先輩も、意気地無しで、本当に大切なことは口には出せなくて。

核心には触れないように、ただ甘い毒に溺れてる。




ときどき、わからなくなるんだ。

わたしの心がどこにいるのか、わたしはなにを思ってるのか、わからなくなる。

わからないなら考えればいいのに、わたしは考えることをやめてしまう。

そういう弱い自分が嫌い。



「……ほんと、大嫌い」