「ねえ、」
「なに?」
「リュウ先輩、1年生の誰かと付き合ったりする、んですかね」
「……………どうだろうね」
「コウキはリュウ先輩の友達でしょ、わからないんですか?」
「わかんねーよ。アイツのことなんて」
俺といる時にアイツの話しないでよ。
この空間に、リュウの話なんていらない。
「ていうか、早く寝ろよ。夜なんだから」
「起きてたのはコウキじゃ、」
「俺はいーの」
腕の中に小さく収まるだいすきな人の背中をトントンって規則的に叩く。
こうしたら、すぐに寝る。安心しきった顔で、俺の腕の中で、眠ってくれる。
…なあ、ミナの扱い方とか、ミナの好きなものとか嫌いなものとか、傷付いた顔とか、泣きそうな顔とか、欲しいものとか、欲しくないものとか、ぜんぶぜんぶ、1番わかってる男って俺だよ。
誰よりも知ってる。だけど、でも。
─────俺は誰よりもミナのすきから遠い。
いつになったら、ミナはリュウのこと諦めんの?
いつになったら、リュウはミナのこと諦めるんだよ?


