君に毒針



「なあ、今何考えてんの?」

「…ときどき、コウキ意地悪するなあって」

「意地悪なんてしてねーわ」

「しました」



身体の奥がずっと熱い。心臓が痛い。張り裂けそうなほどに焼け焦げている。

いつか、俺の心臓は焼けてなくなってしまうんじゃないだろうか。
痛みで、きっと、いつか死んでしまう。



「ミナ、明日、学校行く?」

「………行かない。サボる」

「悪い子だな」

「コウキだってサボるでしょ」

「俺は悪い子だからいーんだよ」



痛みが消えますように。すこしだけでいいから、消えて欲しい。

「ごめんな、忘れてよさっきの。意地悪だから」と、ミナの望む答えをあげて、それから、ぎゅうっとちいさな身体を抱きしめる。
どこにも行かないように、縛り付ける。

ひどいやり方。そんなの知ってる。