(清水side)
─────ミナが4年間、リュウに無謀な片思いしてるんだとしたら、俺はそれと同じくらいの時間、無謀な片思いしてしまっている。
「……バカみてえ」
隣で寝息を立てるミナの頭をそっと撫でたら、幸せそうにミナは微笑んでから、安心しきったように身をよじる。
この時間だけは、ミナが俺のものになっている。そんな勘違いをさせてくれる。
いつもは届かない、交わらない視線が、すこしだけ交わったような、そんな期待をさせてくれる。
ミナと俺の関係は歪んでいる。
手を繋いで、抱きしめて、欲しい言葉をあげる。
甘やかして、逃げれないように、毒を刺す。
もっとミナが弱くなればいい。
綺麗な片思いなんて死んでしまえばいい。
だけど、ミナはそんなことを許してはくれない。
『ファーストキスはすきな人って決めてるから』
汚してやりたいと思う度に、そう言って顔を逸らすお前に、俺がどんだけ苛立ってるとか、虚しくなるとか、全部わかってねえんだろうな。
ごめん、冗談、ってその度に笑う俺の気持ちなんて、わかろうとしてくれないんだろうな。


