君に毒針



「なあ、」

「んー?」

「…樋野といつの間にあんなに仲良くなったの?」

「樋野くん?」

「ん、樋野」



耳元に落とされる言葉の数々が、どうしてかくすぐったい。

優しい声が鼓膜を揺らす度に、ぎゅーって心臓が掴まれて、甘い毒が全身に回る。



「あー!!もしかして、ヤキモチ妬いてるんですか!?」



少しからかいたくなって。
身体を離して、彼の表情を確認しながら、2人きりのとき“じゃない”声音に変えてみれば、彼は心底嫌そうに眉をひそめてから、「うざいわ」って小さく怒る。


わたしは、彼を拒否できないし、拒否したくない。

真実に気付かないふりをして、この心地良さに溺れたふりをして、そうして作るこの空間は脆すぎて、いつ壊れてもおかしくなかった。



「ヤキモチ妬くとか、かわいーですね、