君に毒針



(神楽side)



【今日来て】

そんなメッセージが携帯を揺らしたのは、ちょうど片付けを終えて解散する時だった。

来る?じゃなくて来て。一文字だけいつもと違う文面にすこしの違和感を覚えながら【わかった】と言葉を返せば、すぐに既読がついて、やりとりは終わる。

なにも変わらない、日常の、はず。







「…コウキ、どーしたの?」



────でも、やっぱり、違和感は見逃してはいけない。
部屋についてすぐ、彼はわたしをぎゅーって抱きしめる。
まるで存在を確かめるように、痛いくらいに。

まだ玄関なんだけど。せめて靴くらい脱がせてくれたっていいじゃん。
と、言いかけた口を噤んで彼の言葉を待てば、彼はぐりぐりと甘えてるみたいに頭を揺らした。



「別にそーゆー気分なだけ」

「…変ですね、」



今日はわたしよりも彼の方が、どうしてか弱っているらしい。
なんとなく応えるように彼の背中に腕を回せば、わたしを抱きしめる力がすこしだけ増す。

太陽の下にいすぎたせいかな。まだ頬が熱い。